今回気をつけたのはただひとつ。『獣の奏者』の丸パクリにならないように、という点だった。
実を言うと、私は『獣の奏者』の『Ⅲ 探求編』『Ⅳ 完結編』『外伝 刹那』しか読んでいない。『Ⅰ 闘蛇編』と『Ⅱ 王獣編』は、原作は読んでおらず、アニメをたまに見ていた程度なので、『獣の奏者』の世界をきちんと知っているとは言い難い。
だからあまり偉そうに語ってはいけないのだが、それでも読破した三冊を読んでいるとき、「うおおお、この場面!このセリフ!グレクロでやってほしい!」というところがたくさんあった。イアルさん(主人公エリンの夫)とグレイのキャラが被る被る。と勝手に喜びで狂い悶えていた。
特に『外伝』の表題作『刹那』は、デートあり初夜あり同棲生活あり命がけの出産ありと「うおおお、この場面(以下略)」のオンパレードだった。
セリフとか設定とか「『獣の奏者』になんか似てるぞ。パクったのでは?」と思われたなら、それは「はいそうです。パクらないようがんばったけどパクリになってしまいました」と謝るほかない。
特に「自分の命はもう自分一人のものではない」というくだりとか、「生まれる子は重い運命を背負わされる」というようなセリフとか。素晴らしい作品に触れるとすぐそれの劣化パロディを作ろうとするのは素人によくあることだが、それにしても恥ずかしい限りだ。