モチーフにしたのは、三好達治の詩『いにしへの日は』の一節。
ははそはのははもそのこも
はるののにあそぶあそびを
ふたたびはせず
この作品での「春の野」の花は「げんげ」(レンゲソウ)だが、なんとなく「春の花畑で遊ぶ母子の幸せな時間」というイメージで今回の話を書いた。
最初は、ただグレイとクローディアと娘がシロツメクサで遊んでいるだけの話だったのだが、「時系列としては『花咲く頃に』の直前かな」と思ってつわりの話を入れたり、「楽園などどこにも無いんだ」というグレイの台詞を思い出して付け加えたりした。
「私の一生は、幸せだけ」という台詞(『最終兵器彼女』に出てきた気がする)も入れたかったが、なんだか不吉な感じがするのでやめた。また、個人的には「はるののにあそぶあそびを/ふたたびはせず」などと言わず、娘たちが大人になっても「昔こんなことしたね」と懐かしんで遊んだりしたらいいのに、と思う。
(追記)キンレンカのくだりは、梨木果歩『西の魔女が死んだ』(新潮社)より。
キンレンカ(ナスタチウム)が食べられることはこの作品を読んで知った(実際に食べたことはない)。葉っぱの形が本当に蓮っぽくて、「金蓮花」とはよく言ったものだと思う。
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