前々からバーバラの話が書きたかったが、篠原恵美さんの訃報を知って、これはどうしても書き上げねば、という気になった。
モチーフというか、参考にしたのは、中島みゆきの小説『ウィズアウト・ベイビー』(『泣かないで・女歌』[新潮社]収録)と、バレエダンサー・吉田都さんのエッセイ。
前者は、中島みゆきの自伝的小説で、厭世的で人間嫌いだった友人が、夫と出会い子供を産んだことで人間を愛するようになった、というような話。中島みゆきは彼女の幸福を喜ぶと同時に微かな羨望を覚えるが、「それでも自分の人生も捨てたものではない」と締めくくる。…今回の話は、まんま、この小説のあらすじをなぞっている。
後者は、英国ロイヤルバレエ団で長年に亘ってプリンシパル(主役を踊るダンサー)を務めた吉田都さんのエッセイから、彼女がバレエを始めた頃のエピソードを参考にした。
小学3年でバレエを始めた吉田さんだったが、5年生のとき、先生の教え方が急に厳しくなり、友達は次々にバレエ教室を辞めていった。しかし、吉田さんは「できなかったことができるようになると、ものすごく嬉しかった」という。
世界で活躍する人って子供の頃から違うんだな、と、このエピソードが妙に印象に残った。
あと、NHKの『プロフェッショナル』に吉田さんが出演した回で、「練習のし過ぎで体を壊し、しばらく踊れなかった時期があった」「それまではバレエ以外のことに興味を持てなかったが、このことをきっかけに人生を楽しむ余裕を持つようになった」というエピソードを知り(もしかしたら覚え違えているかもしれないが)、バーバラにもこういうことありそう、と思って盛り込んでみた。
吉田都さんの踊りに対する真摯な姿勢や、自分への厳しさは、まんまバーバラと共通すると思う。また、昔、私の母が吉田さんのトークショーに出掛け、著書にサインしていただいたが、「全然えらそうではない。普通のお姉さんという感じ」だったという。
そういう人柄もバーバラみたいで、そんな吉田さんのエピソードは是非とも取り入れたかった。
グレクロに関するところで一番書きたかったのは「あー…それならたぶん、今まさに隣の部屋で製作中だろう。」という部分。エロさとおかしさが出ているといいなと思う。
「没会話集」の台詞を流用したり、勝手にバーバラの人生を捏造したりと好き勝手やったが、書きたかったものを盛り込めて自分では満足している。
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