作中の「踊り好きの娘」の話は、インドネシア民話「おどるパンダジア」(『ブレーメンのおんがくたい』国際版少年少女世界童話全集16 収録)をモチーフにした。
パンダジアという踊りの好きな娘が、踊りに出掛けたことで怒った父親から家を追い出される。そこへ、パンダジアを見初めた「月の王子」が鎖の付いた椅子を地上まで垂らし、彼女を天界に引き上げる。彼女もまた、踊りの輪の中で垣間見た月の王子に心を奪われていた。家族はパンダジアが天に昇る様を見て嘆き悲しむが、彼女は涙ながらに別れを告げる。
パンダジアは月の王子の妻となり幸せに暮らしていたが、月の王子を妬んだ兄の「太陽の王子」の矢に射抜かれて帰らぬ人となる。嘆き悲しんだ月の王子は、パンダジアを蛍に変えて家族の許に返す――という話。
最後にパンダジアの母が「あの子はきっと幸せなんですよ」と呟くところが切ない。家族は蛍がパンダジアの成れの果てとは知らず、ただ「天の使いとしてやって来た不思議な虫」としか思わなかった。
蛍の話はもう一本書きたいが、pixivの「期間限定ホタルエフェクト」は終わってしまったのでまた来年になるかもしれない。
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