pixivの期間限定の蛍エフェクトを使いたかったのと、窪田空穂の短歌 「其子等に捕らへられむと母が魂蛍となりて夜を来たるらし」をモチーフにした話を書きたくて書いた。中学か高校の国語で習ったが、妙に印象に残っている。
この前蛍を見に行ったが、期待したほどたくさんは見られなくて残念だった。それでも「ただ一つ二つなど、ほのかにうち光りて行くもをかし」と清少納言も言ってたじゃないか、と負け惜しみを呟きながら(実際はのべ10匹くらいは見たが)蒸し暑い中歩き回った。一回、宮本輝の『蛍川』みたいに、「蛍にまとわりつかれた人が発光しているように見える」(だったかな?大昔読んだきりなのでうろ覚え)くらい大量の蛍を見てみたい。
「角砂糖に紅茶が染みるように」という部分は、尾形亀之助の詩『犬の影が私の心に写つてゐる』の一節「おゝ これは砂糖のかたまりがぬるま湯の中でとけるやうに涙ぐましい」をイメージした。江國香織『ホリーガーデン』に出てきて、これも印象に残っている。
記憶に残っていてふと思い出した詩だの短歌だのを元に話を作って書くことはわりとよくある。