2025年5月7日水曜日

「きせかえ順子」

 犬丸りんさんの小説作品(手元に本がないので、覚えている範囲で書く)。

主人公の順子さんは、幼い頃から着せ替え遊びが大好き。長じてもお洒落な服を着るのが好きで、結婚相手も「自分の着せ替え欲」を満たしてくれるお金持ち(見た目はハゲでデブ)を選んだ。

夫の親からは「孫を産んでほしい」と期待されていたが、彼女は「着せ替え人形にしたい」(もちろんそんな本心はおくびにも出さないが)一心で子供を産んだ。第一子は男だったので、気合で次は女の子を産んだ。しかし、二人とも色黒で容貌はあまり可愛くはない。まあ、それでも子供たちに可愛らしい服を着せて順子さんは楽しんでいた。

そこへ、夫の浮気が発覚。しかも婚外子(2歳の女の子)までいた。子供の母親は、子供を捨てて逃げてしまった。順子さんは、その子が人形のように可愛いことに感動し、喜んで引き取って育てる。実子がその子をいじめないよう細心の注意を払う順子さんを見て、周囲は「なんと心の広い、立派な妻だろう」とますます順子さんを良妻賢母だと誤解していく。

「おまえと一緒になってよかった」と呟く夫に、(死に装束ぐらいなら着せてやってもいいかな)と夫の亡骸に白い着物を着せる場面を順子さんが空想するところで幕。本人の腹の中はどうあれ、周りが幸せになっていればまあいいかと私は思っている。

どうしてこれを思い出したかというと、先日、公園で白い透ける素材(オーガンジー、かな)を使った、丈が足首まであるふんわりしたドレスを2歳くらいの女の子に着せた母親を見て、「ピンクや白のドレス」を引き取った女の子に着せていた順子さんを思い出したため。

私が公園で見たその母親は、花壇の花と子供の写真を撮ろうとしていたが、子供が自分の思い通りにじっとしていないと「てめえ、なにやってんだよっ!」と怒鳴ったり、「座ったら(子供が欲しがっているおもちゃを)あげる」と物で釣ったり、と見ていて不愉快だった。

子供の事故で「転倒・転落」が多い、というのをこういう親は知らないんだろうなあ。写真スタジオならまだしも、公園に動きにくい服を着せて子供を連れて来るなんて、子供が大ケガしないと何がいけないのかわからないんだろうなあ。と腹が立つやら何もできないのが情けないやら。

バカな親のところに生まれたのはその子の不運だ、私にできることは何もないと諦めるしかない、と分かっている。ただ、せめてメーカーは、子供がケガをしやすい服(ひっかかって首が絞まる恐れのあるフード付きパーカーとか、つまずきやすいワイドパンツやガウチョパンツなど)を作って売るのをやめてほしい。

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『ゆうべ見た夢』こぼれ話

  『ゆうべ見た夢』(R-18) 地元のラジオ番組でかなり昔(四半世紀くらい前)に紹介された、「子供に夫婦の営みを見られちゃった事件」を参考に書いた。 (以下、センシティブな表現を含むので読みたい人だけどうぞ)