『二人の休日』本文→https://www.pixiv.net/novel/show.php?id=22081331(R-18作品です)
元ネタは、江國香織『落下する夕方』より。主人公が元彼との幸福だったあれこれを思い出す場面で、「日曜日の昼間のセックス」というのがある。
日曜日、朝寝坊した後何度も怠惰なセックスをして、夕方目が覚めるとおなかがぺこぺこになっている。そこで二人で連れ立って近所のお蕎麦屋に行く――というようなくだり。なんかいいなあと思った。
「一人の男と時間を共有しているときの、ずぶ濡れになるような幸福」だったか(手元に本がないのでうろ覚えだが)。ありふれた恋愛をここまで美しい表現で描く江國香織はやっぱりすごい。
あと、セックスの終わりにキスをするというのは、阿刀田高『怪談』のパクリ。主人公が初めて愛する彼女と結ばれたときの最後のキスが、心に沁みるほど美しかったので真似してみた。
この小説は、作家 小泉八雲(ラフカディオ・ハーン)の伝記パートと、彼の作品と人生に興味を持った現代(と言っても新聞連載していたのは1997年だが)の男女が、八雲の足跡を辿りながら愛を深めていくという恋愛パートで成り立っている。文学・地理・歴史の勉強をしつつ主人公たちの愛に感動することができるので、言い方は変だがお得感満載でお薦め。